拉致再調査に関する報告の先送りを受け、9月29日に行われた日朝政府間協議の内容について記者団の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相。北朝鮮側のもの言いは「成果はないけど訪朝してください」と言っているに等しい=2014年9月30日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
政府、対話と圧力に苦慮
安倍首相は9月30日、宋氏から拉致被害者らの再調査の現状について平壌で調査委から直接報告を受けるよう提案があったことを明らかにした。宋氏は再調査について「科学的、客観的に着実に取り組んでいるが、初期段階であり、具体的に結果を報告できる段階にない」と述べたうえで、「調査の詳細は平壌に来て、調査委のメンバーに直接会って話を聞いてほしい」と主張したという。
宋氏の発言は「成果はないけど訪朝してください」と同じ意味だ。日本は政府担当者の平壌派遣に向け準備を進めているが、現地で再び北朝鮮の戦術に弄ばれる可能性もある。
ただ、報告の遅れを理由に経済制裁再発動をほのめかし北朝鮮を責め立てれば、再調査が白紙に戻ることも否定できない。政府は「対話」と「圧力」のバランスを取ることに苦慮しながらも、拉致被害者の早期帰国を実現させるため、引き続き神経戦を強いられることになりそうだ。(SANKEI EXPRESS)