専門家は対応が遅れた背景に、WHOが現地の事務局や発生国に当初の対応を主導させたことや、現地との連携を欠いたことなどを指摘。2009年の新型インフルエンザをめぐる世界大流行(パンデミック)宣言を「過剰反応」と批判されたことが、慎重姿勢につながったとの見方もある。
エボラウイルスの共同発見者であるピーター・ピオット氏は「宣言までに5カ月を要してしまった」と述べ、この間の対応の遅れが感染拡大の重大な要因となったとの見解を示す。
ミス認める内部文書
WHOも批判を認識しているようだ。AP通信は17日、「対応に関与したほぼ誰もが簡単な予兆を見誤った」とするWHOの内部文書を報道。文書は、医療システムが崩壊した地域では伝統的な封じ込め手段は機能しないと気づくべきだった、とも指摘していた。
ただ、別の専門家は「WHOを責めるなら、全世界もある意味でミスを犯している」と指摘。MSFの関係者は、関係組織の活動を検証すべきだとしつつ、「われわれは何カ月も援助を訴えている」と国際社会のさらなる支援の必要性を強調した。(ベルリン 宮下日出男/SANKEI EXPRESS)