半世紀を超える活動歴を誇るジャズピアノの第一人者、ハービー・ハンコックさん(74)が初の回想録「ポシビリティーズ(可能性)」を発売した。ジャズ界だけでなく、R&B(リズム・アンド・ブルーズ)やヒップホップにまで多大な影響を与えた真の革新者である彼が、師といえる伝説的な米トランペット奏者、マイルス・デイビス(1926~91年)とのステージで人生における新たな“可能性”に目覚め、仏教への信仰心と家族の助けで麻薬中毒を脱した逸話などを赤裸々に披露。“可能性”を求め続ける大切さを真摯(しんし)に訴えている。
ストックホルムの夜
米シカゴ生まれで7歳からピアノを習得。11歳でシカゴ交響楽団と共演するなど神童ぶりを発揮したハンコックさん。1960年からプロ活動を始め、デビュー作「テイキン・オフ」発表翌年の63年から68年までマイルスの五重奏団で活躍した。