サワは表情で何かを物語る役どころ。心の奥底をしっかりとつかまなければ演技にならない。ところが、彼女の内面をもっと知りたいと思えば思うほど、しっかりとつかみきれず、サクラは少しずつフラストレーションをためていった。一方で、サワは自分の分身でもあり、当然、自分と似た部分を持ち合わせていた。「例えば、道ばたや銭湯で、まるで知らない人に話しかけたり、逆に話しかけられて、楽しく世間話をすることにまったく抵抗がないんですよ。サワちゃんもそのようにして大勢のおじいちゃんのハートを射止めてきたわけじゃないですか。そこに関しては無理なくできました。まったく知らない人に対して恐怖感がなく、人見知りしないんですよ」