老いへの心構え考える
今まで出演した映画やドラマの中でもっとも多くの身内が関わったそうだ。監督・脚本は姉の桃子監督、エグゼクティブプロデューサーは父の奥田、老人役の共演者は義父の柄本明(65)、フードスタイリストは母の安藤和津(66)。現場では彼らとなれ合いになることはなく、むしろ大げんかをしたくらいだ。「父と姉とはよく衝突しましたね。なぜそれほど強くぶつかり合えるのかといえば、家族だからでしょう。相手が家族ならば、率直に言いたくなることもあります。いい映画を作ろうという志は同じでもあるし、包丁を持ち出す事態となっても、最後は大丈夫だろう-という確信がありますから、私は思い切りぶつかっていきました」。ちなみに、身内ではない人と仕事をする場合、サクラは黙々と仕事をこなすタイプだそうだ。
母方の祖母を自宅で介護した経験がある。祖母はサクラが学生時代に倒れ、息を引き取るまで自宅で過ごした。おばあちゃん子だったサクラは、忍び寄る老いへの心構えを考える機会が多かったようにも思える。「『死ぬまで生きよう、どうせだもん』。これは『0.5ミリ』のキャッチコピーでもあるんですが、私の大切な言葉です。私はそんなふうに過ごせたらいいなと思うし、きっとこの映画はそう思わせてくれるはずですよ」