モデルになる店がないため、手探り状態で一から進め、「着想からオープンまで7年掛かりました」と笑う。テーブルの上の分厚い鉄板も特別仕様でオーダーした。初めは強火で焼き、余熱で火を通すためにはこれくらいの厚さが必要だとか。表面はカリッとほどよくスパイシーで中は肉本来のうま味が凝縮した、この店でしか味わえないローストビーフ。付け合わせのニンニクやジャガイモ、タマネギもほくほくだ。
目と鼻と舌で楽しめる
アミューズ(最初の一品)のレンコンとバジルのコロッケに続いて、数種類から選べるオードブルは「シャルキュトリーの盛り合わせ」を。シャルキュトリーとは肉の加工品のことで、パテもリエットもハムも自家製だ。メーンのローストビーフの後にデザートかチーズと飲み物(コーヒーか紅茶)が付いて4000円(税抜き)。
壁には年代物のコーヒーミルが掛かっている。「プジョー」製で、この有名な仏自動車メーカーの前身は歯車やミルなどの金属製造会社だそうだ。このミルでひきたてのコーヒーをいただけるのもうれしい。パフォーマンス(目)、香り(鼻)、味(舌)と存分に楽しめる店だ。