だから、「安心だ」と信じて疑わなかった。だが、揺れは、あっけなく柱を曲げ、自宅を傾かせた。全壊は免れて家族は無事だったものの、「ミシミシと家全体が揺れ、何もできず、うずくまっていた。今でもあのときの揺れと恐怖がよみがえる」と語る。
地元住民によると、掘之内地区は以前から、地震が頻発する地域のため、「いつ大きな地震が来るか」と住民は日ごろから、ささやきあっていたという。
掘之内地区で生まれ育った男性(78)も噂をしていた1人だった。「今まで経験したことのない揺れだった。何も、ここまで大きなものが来なくてもよいのに…」。割れたガラスや食器などが散乱し、足の踏み場もなくなった自宅を前に男性は肩を落とした。
ジャッキ差し込み
1階部分が崩落するなど変わり果てた堀之内地区の自宅前で黙々と後片付けをする男性の姿があった。