「助けてやるからな」。津滝さんは救出されるまでの間、妻を励まし続けたという。約20分後、君和さんは布団ごと引っ張り出された。津滝さんは「家族全員が無事だったのは、唯一の救いです」。肩の打撲で済んだ君和さんも「村のみなさんに、本当に感謝しています」と涙をぬぐった。
住み続けられるのか
地震から一夜明け、住民は改めて地震の威力を語った。アダムソン陽子さん(39)は夫と2~9歳の子供の5人家族。突然の揺れに、陽子さんは長女と長男に布団をかぶせ、夫は次女を抱きかかえ、揺れが収まるのを待った。家族は全員無事だったが、陽子さんは「船上で揺られているようだった」と振り返った。
農業を営む山田寿穂さん(58)は、揺れが襲った際は入浴中だった。「はいながら浴室を出た」。一緒に暮らす高齢の母(90)も無事だったが、台所は棚から食器が飛び出してガラス戸も割れて破片が散乱し、足の踏み場もない。
23日夜も断水が続き、食事も作れない状態。母は施設に預けたが、心配は尽きない。「余震が続いているので、すぐ逃げられるよう窓が近いこたつで寝ます。でも、このままずっと住み続けていけるのか…」。山田さんは表情を曇らせた。(SANKEI EXPRESS)