この『本のなかの、京都。』では、京都に暮らし、ゆかりが深い20人に「御自身が京都を感じる本」を選び、それについて語って頂きました。本というのは不思議なことに読み手を映す鏡みたいなところもありますから、ひょっとしたら語らう彼らの根っこが表れるかもしれません。根っこは見えなくても、若筍の芽を土下に感じるくらいはできるかもしれない。
ともあれ、この京都人の紹介する京都本案内を通じて、あなたが京都と出会いなおしてもらえれば幸いです。みながつくった京都のイメージを脱ぎ捨てて、自分だけの京都を見つける愉しさを、ここに並ぶ本たちは媒介してくれるはずですから。(『本の中の、京都。』序文から)
自分の縦糸と、見つけた横糸
京都の老舗旅館「柊家」の女将、西村明美さんは、川端康成の『古都』について話をしてくれた。京都にある呉服問屋の娘、千重子と生き別れになった双子の姉妹・苗子の数奇な運命を描いたこの小説。そんな物語の中で、西村さんが心奪われたのは、花見の場面なのだという。千重子が平安神宮へと花見に出掛け、八重のしだれ桜が連なる美しい場面。