なぜか。遺骨問題については、外務省の伊原純一アジア大洋州局長(58)が9月下旬、中国・瀋陽での日朝協議で拉致問題解決に向けた“誘い水”として「日本政府の事業で行うことを検討している」と明言。北朝鮮は10月下旬の平壌での協議で「埋葬されている遺骨、埋葬地への全面的調査を実施した」と伝達していた。
だが、日本政府は北朝鮮に拉致被害者の調査報告を最優先で実施するよう求めており、遺骨問題が進展しても安易に合意できない事情があった。チョ氏の来日を許せば、拉致問題をなおざりにして遺骨問題をクローズアップする北朝鮮のプロパガンダ(宣伝)工作が日本国内で展開される危惧があったわけだ。
政府は遺骨問題の議論が衆院選に影響を与えることも危惧し、チョ氏の来日ビザの発給を認めなかったとみられる。
よど号犯聴取は“ポーズ”?
また、北朝鮮の調査委は11月、日航機「よど号」を乗っ取り、北朝鮮に渡った元共産主義者同盟赤軍派メンバーらを聴取していた。