ノルウェーの北極に浮かぶスバルバル諸島の氷河を見ながらロシアの廃虚となった旧ソ連の炭鉱「ピラミ-デン」に向かった。お昼はなんと、氷河を砕いたウィスキーのオンザロックに、クジラのバーベキューだった=2014年10月16日、ノルウェー(内藤泰朗撮影)【拡大】
シロクマには遭遇しなかったが、ホッキョクギツネやトナカイはすぐ近くまでやってきた。氷河から崩れ落ちた氷塊が浮かぶ海には、クジラやゾウアザラシも生息する。野生動物と観光客たちが街の主人だった。
≪共産主義の理想郷 いまや携帯も通じない≫
炭鉱ピラミーデンまでは、スバルバル諸島の中心街、ロングイヤービエンから船で北に4時間余り。4階建ての立派なアパートがいくつも立ち並んでいるのに誰も住んでいない。携帯電話も通じない。そこは文明から隔絶された世界だった。
緊急時には、無線で助けを呼ぶ。ガイドのサーシャさんも、歯が痛くなり、一度だけ救助を求め、ヘリコプターで街の病院に搬送されたという。
だが、「昔なら、すべてここで治療できたのですよ」。旧ソ連時代、街には、当時、最先端の医療施設に加え、保育園や体育館、コンサートホール、24時間食事ができる大型レストランのほか、牛や鶏を飼う家畜舎までつくられた。極北の地で、新鮮な牛乳や卵を食べることができたそうだ。