ノルウェーの北極に浮かぶスバルバル諸島の氷河を見ながらロシアの廃虚となった旧ソ連の炭鉱「ピラミ-デン」に向かった。お昼はなんと、氷河を砕いたウィスキーのオンザロックに、クジラのバーベキューだった=2014年10月16日、ノルウェー(内藤泰朗撮影)【拡大】
スバルバル諸島最大のスピッツベルゲン島で1910年にスウェーデンが開発した炭鉱は27年に旧ソ連に売却された。第二次大戦後、旧ソ連当局は「共産主義の成果」を世界にアピールするため、炭鉱の街を「北極の理想郷」につくり変えた。「理想郷」には、高給を約束された炭鉱労働者のほか、医者や看護婦、保母さんまで送り込まれ、東西冷戦のピーク時には最大で1000人以上が暮らしていたという。
だが、その炭鉱は、石炭が予想より早く枯渇。経済的に立ちゆかなくなり、旧ソ連崩壊後の98年、閉山。労働者たちは全員引き揚げ、廃虚となった。野生動物がわがもの顔で闊歩(かっぽ)する無人の街は、人間の愚かさの象徴のようにもみえた。
炭鉱を所有するロシアの鉱山会社は観光客の受け入れを決めて、2007年からは新たに発電機を設置し、一部の建物をリフォーム。廃虚を北極観光の目玉にしようと動いている。前出のシロクマが訪問した「ホテル」も内部は、ロシア風の装飾が施されていた。