首相は9月の内閣改造で、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)、加藤勝信(59)、世耕弘成(せこう・ひろしげ、52)の両官房副長官に加え、5人の首相補佐官の続投を早々に決めた。
「首相が成し遂げたい政策で、経済再生以外は礒崎さんの案件ばかりだな」
首相周辺がこう語るように、礒崎陽輔首相補佐官(57)は安全保障法制を手がけ、自民党の憲法改正推進本部の事務局長も兼ねる。官邸と自民党の橋渡し役を担う礒崎氏を首相が側に残したのは、安保法制の次は改憲を必ず断行する強い意思の表れともいえる。
ただ、首相自身が1日に日本記者クラブ主催の党首討論会で「国民の中で憲法を改正していこうという機運が盛り上がっている状況ではない」と語ったように、国民的議論が活発化しているとはいえない。
政府関係者は「16年夏の参院選までに、与野党が幅広く合意できる案を作り、国民の理解を得ようとするのではないか」と指摘する。