台湾統一地方選で大勝し、気勢を上げる野党、民主進歩党の蔡英文主席(前列左から2人目)。2016年の総統選での政権交代の可能性も視野に、中国は“無視”を決め込んできた民進党との関係見直しを模索し始めたようだ=2014年11月29日、台湾・台北市(ロイター)【拡大】
【国際情勢分析】
台湾で11月末に行われた統一地方選で、与党、中国国民党が歴史的な大敗を喫し、2016年の総統選で野党、民主進歩党が政権を奪還する可能性が高まっている。これを受けて注目されているのが、中国側の出方だ。当局や中国共産党は民進党を「台湾独立派」と見なし、交流を避けてきたが、今後は“無視”できないというのが台湾内外の観測だ。ただ、中国側も安易に接近しては足元を見られかねず、中台間ではメディアを巻き込んで神経戦が始まっている。
「蔡氏訪中」報道を否定
「習近平氏が蔡英文氏の訪中の可能性を検討するよう指示」
台湾の週刊誌「新新聞」は12月1日付で、こんな見出しの記事を掲載した。記事は「内部関係者」の話として、中国の習近平国家主席(61)が地方選投開票日の11月29日夜、国務院(政府)台湾事務弁公室の張志軍主任(61)らから報告を受け、総統選への影響について質問。さらに、「民進党指導者」、つまり蔡英文主席(58)の訪中の可能性を検討するよう指示した、と伝えた。