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書物は華氏451度で燃え上がる 世界から「紙の書物」が少なくなっていく前に 松岡正剛 (2/5ページ)

2015.1.20 14:55

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

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 この未来の町では書物のかわりに、市民全員に超小型の「海の貝」が与えられ、どこへ行くにもそこから流れる情報を聞くようになっていた。家に帰れば帰ったで、部屋に巨大なスクリーンが装置されていて、たとえ一冊の書物がなくともそこから提供される知識と娯楽で生活がたのしめるという制度なのだ。

 ところが、意外なことがおこってきた。住民が「ぼくはスウィフトのガリヴァーだ」とか「私はマタイ伝」とか「ぼくはプラトンの『国家』だ」とか言い出し、一人ひとりが次々に書物化していったのだ。科学好きはアインシュタイン化し、アナキストはマハトマ・ガンジー化していったのである。

 この物語はたいへん示唆的だ。われわれもいまや、インターネットと電子機器で情報と知識と娯楽の多くを享受するようになってきた。それらは万人に提供されつつあるけれど、そのぶん書物は個人の持ち物から脱落しつつある。これは「見えない焚書」がおこっているようなものなのである。銘ずべし。

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