【KEY BOOK】「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」(ウンベルト・エーコ&ジャン・クロード・カリエール著、工藤妙子訳/CCCメディアハウス、3024円)
碩学のエーコと劇作家のカリエールが「紙の書物」に対する熱い気持ちと蘊蓄を傾けながら対話した。贅沢で豊饒、かつ切実きわまりない一冊。書物に対する愛情が深く、また広い。とくに電子書籍よりも「紙の書物」のほうが、まだ読んでいない本が見えてくるのだという卓見を披露してくれているところが、いい。カリエールは『ブリキの太鼓』や『存在の耐えられない軽さ』の脚本家。