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【日本遊行-美の逍遥】其の十六(中川木工芸 比良工房・滋賀県) 個性豊かな木桶 ともに生きる (4/5ページ)

2015.1.27 15:00

板一枚一枚の微妙な曲線が、円形の桶を形づくる=2014年10月20日(井浦新さん撮影)

板一枚一枚の微妙な曲線が、円形の桶を形づくる=2014年10月20日(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 刃が湾曲した銑(せん)という道具を両手で握り、桶の外側を削る。銑は奈良時代から使われている古い道具だ=2014年10月20日(井浦新さん撮影)
  • 割り目を整え、繊維を傷つけないように、お腹に挟み込んで、力をかけながら削っていく=2014年10月20日(井浦新さん撮影)
  • ぐい呑み、一合樽、ピッチャーなど、上品で洗練された形=2014年10月20日(井浦新さん撮影)
  • 俳優・クリエイター、京都国立博物館文化大使、井浦新(いうら・あらた)さん(本人提供)

 かつて京都に250軒あった桶職人も数軒に減った。一般家庭の桶の需要が1000分の1になった今でも仕事を続けられるのは、料理屋向けの器を作っていたことが一因だという。京料理に使われる白磁の薄い器には、ぶ厚くてゴツゴツした武骨な形は似合わない。お互いを引き立て合う上品な形が必要だった。さらに京都では、素材である木を他の所から運び込むことから、材料の単価が高かった。同じ材料で1個作るところを2個作る。デザインもおのずと繊細になる。そうやって、どの産地とも異なる独自の姿が生まれた。

 「若いときはいかに新しい意匠を生み出すかについて、夢中になっていたけれども、デザインって自然に生まれるものでもあるんですね」

職人の勘や経験、素材とのコミュニケーション

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