表面的に見れば、担任教諭の行為は、配慮を欠いたものと言わざるを得ないだろう。しかし、戦争の実相をどのように教え、どのようにしたら戦争を止められるかという視点で、市民感情を形成する報道のあり方について考え直すべきだろう。ヨルダンではパイロットの殺害映像が国民の戦意高揚のため街頭で公開され、米国でも大手メディアの1社がネットで公開している。日本でも、子供たちの多くは、残酷な戦闘シーンのあるゲームにすでに参加しているし、彼らの少なからずが、ネットで殺害映像や画像を見ている。その現実を無視した議論をしていても始まらない。(同志社大学社会学部教授 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)