“工作員”を送り込んでネットの掲示板の論調をコントロール。就活慣れした学生たちとの駆け引き。ライバル社とのつぶし合い-。就活の最前線を描く一方、同棲中で小説家志望の元部下や、志帆子がハマる猫カフェのミステリアスな常連客との関係も、ストーリーラインを巧みに引っ張っていく。くるくる変わる「選ぶ」「選ばれる」の関係をシャープな文体でえぐるが、アラフォー志帆子の自虐モノローグなど、思わずくすりと笑ってしまう人間描写も。「プロットだけを見ると悲壮な物語と思われがちなのですが(笑)、『笑えた』『面白い』と言ってもらえたらすごくうれしいです」
選ぶ、選ばれる。あなたはどっち?(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
■あさひな・あすか 1976年東京都生まれ。慶応義塾大学卒。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家デビュー。他の著書に『憧れの女の子』『不自由な絆』など。
「あの子が欲しい」(朝比奈あすか著/講談社、1400円+税)