サイトマップ RSS

バッハの「大いなる神の数」に酔いなさい 「戦場のピアニスト」から「市場のピアニスト」へ (2/5ページ)

2015.2.18 16:00

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

  • 【BOOKWARE_松岡正剛】BOOK_MEETS_BOOK

 バッハが楽譜に何かを装飾させていることなら、大作『音楽の捧げ物』に秘めた10曲のカノンはリチェルカーレの謎カノンだったのだし、最晩年の『フーガの技法』のBACH音型にしてから音のアナグラムだったので、それなりに知られていることだった。しかし、カバラのゲマトリアを駆使していたとなると、これはバッハを神秘主義者の番付の上位に入れるということになる。なぜバッハは数の神秘にこだわったのか。「神の数」を音楽にしたかったからだ。

 未曽有の殺戮をまきちらした第一次世界大戦のあと、オスワルト・シュペングラーは『西洋の没落』を書き、世界が戦争にまみれたのは、人類が現実の数字のやりとりに血道をあげるようになって「大いなる数」を忘れたからだ、われわれはいったんヤーウェやゲーテに倣って「神の数」を取り戻そうと主張した。

 絵画であれ音楽であれ演劇であれ、バロックまでの古典技法というもの、そもそもアナロギアとミメーシスとパロディアでできている。類推に耽る、模倣に凝る、諧謔を遊ぶという技法だが、その中心には「神の数にもとづいて」という精神が貫いていた。すべてを神に擬して技法のかぎりを尽くそうという精神だ。スメントやタトローはバッハこそがその古典技法に長けていたと読んだのだ。

福音主義ルター派のプロテスタンティズムの正統性を問いながら…

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ