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バッハの「大いなる神の数」に酔いなさい 「戦場のピアニスト」から「市場のピアニスト」へ (4/5ページ)

2015.2.18 16:00

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 【KEY BOOK】「バッハ=魂のエヴァンゲリスト」(礒山雅著/講談社学術文庫、1188円)

 ミュールハウゼン時代のオルガン、ワイマール時代のカンタータ、ケーテン時代のアンナ・マグダレーナとの出会い、ライプツィッヒ時代の「ヨハネ受難曲」の修辞学と、「マタイ」に寄せた慈愛の構想、晩年の数の神秘を加えた「音楽の捧げ物」や「フーガの技法」。これらを本気のエヴァンゲリストとして貫いたバッハの魂が、礒山の叙述によって蘇ってくる。最近のぼくは礒山の文章と、『バッハの風景』などの樋口隆一の文章を読むことが多い。

 【KEY BOOK】「神こそわが王 精神史としてのバッハ」(丸山桂介著/春秋社、4320円)

 丸山が気になるバッハを好きなように書いたのがいい。ゲマトリアと数秘術についても言及しているが、インヴェンチオの試みを捉えていくあたり、バッハの視覚性に迫っていくあたり、とくにおもしろい。表題の「神こそわが王」は初期のBWV71に「神はわが王」という注が書いてあることに発して、バッハが「永遠を模倣する時間」に挑み続けた形跡を追ったもので、まさにゲーテとシュペングラーの「大いなる数」を彷彿とさせた。

先駆者フリードリッヒ・スメントのバッハ数秘術

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