マナティーたちの生きるフロリダ半島各地の環境も良いとはいえず、国際自然保護連合は絶滅危惧種に指定している。もともと先住民族が食肉としていたが、ヨーロッパからの入植で肉だけでなく革や油目的の乱獲が進んで個体数が激減。その後、環境意識の高まりとともに連邦政府や州政府はさまざまな法律を制定して保護している。
フロリダ周辺の個体数は1970年代には1000頭ほどだったが、現在は5000頭ほどに回復したとされる。だが、2010年には寒波や病気などで約700頭のマナティーが死亡したことをフロリダ州の野生動物保護当局が発表。さらなる個体数の減少も懸念されている。
フロリダ州クリスタルリバーには、温かい湧き水で越冬するため毎年300頭ほどのマナティーが集まる。入り江の一部には法律で人間の立ち入りが禁止された「聖域」もある。そんな保護地区は、マナティーを間近で見られる場所として年間15万人が訪れる観光地でもある。地元のダイビングショップでガイドをするリック・トゥーンさんは「ここはマナティーと一緒に泳げる数少ない町です。『マナティーを追いかけない』『むやみに触らない』などのルールが厳しく決められていてます」と話す。記者も事前にビデオを見て、「ストロボを使わない」などの撮影ルールを確認してから取材にあたった。