【KEY BOOK】ジョージ・ガモフ「1、2、3…無限大」「宇宙の創造」(ガモフ全集6・7、崎川範行ほか訳/白揚社、在庫なし)
われわれの思考の基礎にあるものは、ひとつは数字、ひとつは物質だ。数字はさまざまな関数のアクターになって多様な意味をつくり、物質は原子核や素粒子となって時空を変化させる。その変化した意味の成果のひとつが生命であり、脳だったろう。ガモフに学ぶということは、人間が造りだした科学の道具と素材を最大限に使うと何が見えてくるかということである。その「見方の世界観」が重大だ。
【KEY BOOK】ジョージ・ガモフ「わが世界観:ガモフ自伝」(ガモフ全集13/白揚社、在庫なし)
ガモフは意外にもいまウクライナ問題で揺れているオデッサの出身である。レニングラード大学からケンブリッジに移り、アメリカに移住してジョージ・ワシントン大学やコロラド大学で教鞭をとった。最初は宇宙の核反応のプロセスを研究してトンネル現象の理論を導き、その後アルファ、ベーテらとビッグバン理論の原型にあたる宇宙の起源像を仮説した。「火の玉」宇宙はガモフの“発見”だった。1968年に急死したが、世界で一番の科学の先生だった。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)