水際で食い止める
一気呵成(かせい)に北京から政治的影響力を強めようとした習近平政権の攻勢を、学生パワーが水際で必死に食い止めている点で、台湾と香港は共通している。台湾の学生に共鳴した香港学生が奮起した側面も大きい。こうした動きを、ある台湾の政治学者は「1949年10月の『古寧頭(こねいとう)戦役』の再現だ」と考えている。
第二次世界大戦の後、中国大陸で起きた国共内戦の結果、台湾に逃れた蒋介石の中国国民党と、大陸を制した毛沢東率いる共産党がなお対峙していた時期。国民党が支配する福建省アモイ沖の金門島への上陸作戦を仕掛けた共産党軍が、わずか3日間で国民党軍に撃退された伝説の戦役だ。
その古寧頭戦役で、国民党側の作戦指揮を水面下でとったのが旧日本軍の根本博陸軍中将であることは知られているが、それはここでは置く。ともあれ結果的に、中国大陸の沿岸までわずか数キロの距離にある金門島の実効支配を守った国民党が、台湾海峡の制海権と制空権を維持し続けた。台湾海峡をシーレーンとする日本も多大な恩恵を受けた。台湾も共産化を免れて、東西冷戦時代に金門島は反共最前線となった。