中国人民銀行の資金供給と軍事費、GDP(国内総生産)の推移<1993年~2014年>。※データ:ストックホルム国際平和研究所(2013年まで)、CEIC。(注)2014年の軍事費は中国国防報告の前年比伸び率に応じた筆者推計【拡大】
グラフは中国のマネタリーベースと軍事費、GDPの推移を追っている。軍事費、GDPとも08年までは人民銀行による資金供給の伸びに合わせて増えてきたことがわかる。さらに09年以降は急増するマネタリーベースに引き上げられるように軍事費が2桁台の増加を続けていることがわかる。
中国は、国際通貨基金(IMF)が発行する計算上の通貨SDR(「特別引き出し権」と訳される)の構成通貨への人民元組み込みを工作している。もし、認められると、人民元は円を抜いて、ドル、ユーロに次ぐ世界3大国際通貨に数えられるようになり、世界各国政府の公的準備資産として採用される。すると、中国はマネーパワーをさらに発揮しやすくなる。
人民元は、銀座の高級ブランド・ショップを潤すなどとはしゃいでいては能天気もいいとこだ。日本を脅かす軍拡にはずみをつけるのだ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)