【KEY BOOK】「ネット・バカ」(ニコラス・カー著、篠儀直子訳/青土社、2376円)
ニコラス・カーはウェブ2.0批判やウィキペディア批判をはじめ、企業の全面的コンピューティング化やIT投資に警鐘を鳴らしてきた猛者である。本書では、グーグル・アマゾン型の検索革命によって社会に大きな変化がおこっていくとともに、人間の知覚や記憶や類推の能力にも変化がおこっているのではないかという問題に踏み込んだ。ネットが好きな諸君にとっても必読書だろうと思う。なぜならこれを読めないではネットは活用できない。
【KEY BOOK】「グーグル化の見えざる代償」(シヴァ・ヴァイディアナサン著、久保儀明訳/インプレスジャパン、2160円)
グーグルは超便利の提供と引き換えに、さまざまな不都合を生んでいるというのが、本書のスタンスだ。何もかもを格付けする、社会と個人の関係を監視できる状態にする、情報テロを誘発する、グーグルで知的探査性が止まってしまう…。そこで著者はグーグルに代わる「ヒト知識プロジェクト」を立ち上げるべきだと主張するのだが、そのプランはあまり具体的ではなかった。