自爆テロがあった首都サヌアのモスク内部を調べる人たち=2015年3月20日、イエメン(ゲッティ=共同)【拡大】
≪「イスラム国」拡散 宗派対立激化も≫
過激組織「イスラム国」がチュニジアの博物館襲撃テロと、イエメンの連続自爆テロで犯行声明を出した。イラクとシリアの支配地域外へ活動が拡散した印象だが、両事件とも実行犯との具体的連携は不明だ。実態を伴わず勢力拡大に向けた広報戦略が先行しているとの見方もある。各地の過激組織が資金と人集めのため、傘下に入ったとしてイスラム国を名乗っている可能性もある。
実行犯との連携不明
「現時点で明確な証拠はない」。アーネスト米大統領報道官は20日、両事件について、イスラム国が実際に関与したかは不明だと述べた。
イスラム国は昨年11月、各地の過激派組織が忠誠を誓った動きを受けて、イラクとシリアに加えて、サウジアラビアやイエメン、エジプト、リビアなどで「新たな領土を獲得した」と宣言した。実際にエジプトのシナイ半島を拠点とする過激派は「イスラム国シナイ州」と改称した。チュニジア事件の翌19日には、アルジェリアの傘下組織が初の攻撃を行ったとの声明を出すなど、系列組織が増殖している。