ウクライナ情勢をめぐるロシアへの対応について、欧州連合(EU)のドナルド・トゥスク大統領(左)と会談するバラク・オバマ米大統領。同盟関係にきしみが生じる中、米国に同盟立て直しの意思はあるのか=2015年3月9日、米国・首都ワシントン(ロイター)【拡大】
しかし、米国は欧州の米軍基地を削減する計画を進め、欧州諸国も財政再建のためNATOが基準とする国内総生産(GDP)の2%という国防費を達成するのが難しくなっている。
最近、訪米した谷内正太郎(やち・しょうたろう)国家安全保障局長(71)はスーザン・ライス米大統領補佐官(50)=国家安全保障問題担当=から、ウクライナ問題で先進7カ国(G7)の結束を求められた。日米関係筋によると、クリミア併合以来、米政府高官はロシアに関する日本の認識を尋ね、日露接近にクギを刺すのが定番になっている。
クリミアの悲劇を繰り返さないためにはまず、米国が新冷戦の現実を認めることが必要だ。それがなければ、ロシアや中国に立ち向かうための同盟関係の立て直しは難しい。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)