渋谷を始発とする東急電鉄の開発と、駅に直結した百貨店と文化施設という大規模な広域構想において、東急は、渋谷では後発の西武に対して、一歩も二歩も先んじていた。事実、東急の立ち並ぶ駅近の施設に対し、西武が占める位置は駅からやや距離がある。ターミナルとなる駅の近辺では、立地上の不利は、商業的にいってほとんど決定的な意味を持つ。この態勢の挽回を期して、新しい時代の消費を先導する女性のイメージを鮮烈に打ち出すことで勝負を仕掛けたのが、西武流通グループのなかでもひときわ鮮烈な文化を担ったテナント・ビル、パルコであった。
そして、アートディレクションの石岡瑛子、コピーライターの小池一子とともに、新しい時代の女性からなるトライアングルの一角として起用されたのが、東京芸大の油画科を卒業したばかりのイラストレーター、山口はるみだった。
従来の画材の鈍重な雰囲気を一掃する、軽快なエアブラシで過剰なまでに克明に描かれた女性像は、アメリカの男性雑誌でこそひとつの典型となっていたが、日本ではまだ手がける者がおらず、山口はその走りであった。