記者会見で日本独自の対北朝鮮経済制裁措置の延長を発表する菅義偉(すが・よしひで)官房長官=2015年3月31日、首相官邸(共同)【拡大】
外務省は水面下で、6カ国協議開催に向けた関係者会議を日本で開催しようと関係国との調整に奔走したが、結局は調整がつかず、実現のめどが立たなかった。
外務省が次に思いついたのが、北朝鮮への経済制裁や強制捜査など圧力を強化することだ。外務省幹部は3月になると、「『北朝鮮に圧力をかけた方が良い』という国内の声を追い風にしたい」と漏らすようになった。
外務省が「圧力」に傾いたことから、警察庁の指揮の下で京都府警などの合同捜査本部は3月26日、北朝鮮からマツタケを不正輸入した外為法違反の疑いで在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の都内の自宅を捜索した。
警察庁はこれまで、日朝交渉が行われている中での強制捜査は慎んできた。「強制捜査のせいで、日朝交渉がうまくいかなくなった」と外務省から非難されることを危惧したことによる。さらに政府は、4月で期限が切れる輸出入の全面禁止など日本独自の対北朝鮮経済制裁措置の延長を3月31日の閣議で決定した。