記者会見で日本独自の対北朝鮮経済制裁措置の延長を発表する菅義偉(すが・よしひで)官房長官=2015年3月31日、首相官邸(共同)【拡大】
継続プランも
それでも、日朝交渉は膠着(こうちゃく)状態が続いている。外務省からはいよいよ、調査開始から1年の節目となる7月を過ぎても交渉を継続するプランも出てきた。今夏、調査を継続する方針を北朝鮮に示すとともに、拉致問題に携わった外務省幹部らを異動させ新体制で臨む戦略がささやかれている。幹部を入れ替えることで拉致問題の態勢を立て直し、拉致問題解決に向けた政府の強い思いを改めて内外に示すということのようだ。
北朝鮮が拉致問題を放置すれば、国際世論は厳しさを増す。国連人権理事会は3月27日、拉致問題を含めた北朝鮮の人権侵害を厳しく非難する日本と欧州連合(EU)提出の新たな決議案を賛成多数で採択した。北朝鮮は国際世論の批判を回避するため、表向きは調査継続に同意する可能性がある。それでも、北朝鮮が本気で拉致問題を進める保証はない。
「安倍内閣で拉致問題を解決する」と明言している安倍首相は、対話を模索してもらちが明かないのなら圧力をかけていくしかないだろう。