天皇、皇后両陛下の戦没者慰霊ご訪問を目前に、先の大戦の激戦地、ペリリュー島の日本軍の慰霊碑を訪れた遺族の村井正巳さん(左)、生還者の元海軍兵の土田喜代一さん(左から2人目)ら=2015年4月5日、パラオ共和国ペリリュー島(今村義丈撮影)【拡大】
遺骨収集にも尽力
「トヨミさん、シゲオさん夫妻がいなければ遺骨収集も進まなかった」。ペリリュー島守備隊の主力だった歩兵第二連隊の遺族・戦友会「水戸二連隊ペリリュー島慰霊会」の事務局長、影山幸雄さん(70)はこう話す。
パラオは自然、文化財保護のルールが厳格で、遺骨でも原則として発掘禁止。夫妻とイサオさんは、遺族らが調査活動をしやすいよう政府側と何度も交渉し、「自ら険しい山に入り、ご遺骨を収集してくれることもあった」(影山さん)。
なぜ、これほど親切なのか。先の大戦で米軍がペリリュー島に上陸する前、日本軍が現地の人々を別の島に疎開させ、戦闘での死者が出なかったことに感謝する現地の人々は多い。
ただ、影山さんは「補給も絶たれた疎開先の島では餓死者が出た」と指摘。「複雑な感情を持つ人もいるはずだが、常に温かく迎えてくれる」と墓守たちの思いの深さに感謝する。夫妻が死去した際には「遺骨収集の支えを失う」と危惧する声もあったが、イサオさんは「一人残らず返したい」と両親と同じ言葉を語り、遺族らを安心させたという。
両陛下は9日、島南端に日本政府が建立した「西太平洋戦没者の碑」で供花される。「両陛下のお気持ちは国籍を問わず、すべての戦没者に向けられている」(側近)。イサオさんも碑の前で両陛下を待ち受け、歓迎する。