ルネ・マグリット「白紙委任状」(1965年、81.3x65.1cm、油彩/カンヴァス_ワシントン・ナショナル・ギャラリー、提供写真)。National_Gallery_of_Art,Washington,Collection_of_Mr.and_Mrs.Paul_Mellon,1985.64.24。(C)Charly_Herscovici/ADAGP,Paris,2015【拡大】
しかし、マグリットは自分の絵が「何かの象徴や寓意を表しているのではない」とも語っている。南副館長はマグリットの狙いについて「観客がぎょっとしたり、何かの気分に浸ったり、心に与える効果が大事で、何を意味するかは重要でなかった」と指摘する。それは、弟らとポスターなど商業美術を手がけ、いくつものスタイルで描く技術があったから「効果を計算できた」(南副館長)という。しかし、だからこそ、自己主張を押しつける絵より鋭く心に突き刺さるのかもしれない。
マグリットの手法は、コンピューターグラフィックスなど映像・画像の加工技術が発達した現代では、アート、映画、CMなどの分野で当たり前になりつつある。ようやく時代がマグリットに追いついてきたのだ。(原圭介/SANKEI EXPRESS)
【ガイド】
■「マグリット展-Rene Magritte-」 6月29日まで、国立新美術館(東京都港区六本木7の22の2)。一般1600円。火曜休館(ただし5月5、26日は開館)。(電)03・5777・8600。