アパートで父の伸也さんと弟で次男の広夢さん(18)との3人だけの男所帯。伸也さんは酒を飲みに出かける回数が増え、そして酔いつぶれる。「おっかあは、まだ帰ってこないのか」。そう言って妻の帰りを待つ父の背中に「亡くなったよ」とは言えなかった。
松島の歴史に
環境を変えよう-。
2013年夏、健人さんは父の伸也さん、弟の広夢さんと3人で、東松島市から多賀城市に引っ越した。伸也さんが震災後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたからだ。
汗びっしょりになりながらの引っ越しは、家族3人の新しい思い出だ。時の流れでしか癒やせないものもある。今は、伸也さんも落ち着きを取り戻し、広夢さんは社会人となった。
「何もかも流されてしまったが、青いこいのぼりは戻ってきてくれた。今やれることをやろう」(伊藤さん)との思いで、震災の年から始めた「青い鯉のぼりプロジェクト」。