女優の桐谷美玲(きりたに・みれい)さん=2015年3月25日、東京都中央区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
明るい世界観
台湾で生まれ育ったキイラ(桐谷)は世界一のパン職人になることを夢見るごく普通の女の子。でも、他の女の子とただ一つ違うのは、キイラがヴァンパイアだったこと。12歳のとき、人間との共存を模索していた祖父(柄本明)と両親は何者かに襲われ、キイラは両親を失ってしまう。命からがら祖父と日本へ渡ったキイラは、横浜・元町でパン屋を営む母親の妹、まりあ(大塚寧々(ねね))と夫、力彦(田辺誠一)に引き取られることになった。8年後、キイラと祖父も働くようになった叔母夫妻のパン屋に、台湾で毎日のように一緒に遊んでいた幼なじみで初恋の相手だった哲(戸塚祥太)がふらりと現れる。
撮影中、桐谷はキイラがヴァンパイアであることを殊更に意識することはなかったそうだ。鈴木監督に指導を仰いだところ、「つらい過去が背景にあっても、ベースは明るくて、素直で、どこにでもいる恋する普通の女の子を演じてください」とアドバイスをもらったためだ。ぼんやりとしていたキイラのイメージがくっきりと輪郭を帯びたことで、だいぶ気持ちも楽になった。桐谷は「いつも、かわいく、一生懸命なのがキイラちゃん。そんなところを演技に出せればいいなと考えて撮影に入りました」と、キイラも顔負けの愚直さで必死に演技に取り組み、作品を通して恋に悩む若者たちにエールを送った。