敬意と感謝
果たして、先人たちが築き上げてきたような仕事の品格にかなうものは、現代が産み出した仕事の中に存在しているだろうか。残念ながら、ほとんどは形式的なものであるように感じる。日本の目指す評価とは、敬意と感謝の思いがどこまで込められているかではなかったか。現代は、可視化される物事があふれ、その結果、支えと感じていた歴史やお客さま、自らの信念を忘れ、目の前にある利益や批判に意識が集中してしまいがちだ。そういった意味において、日本は敬意や感謝ではなく「恐れ」に支配されるようになりつつあるのではないか。私は常々、効率化や機械化は人の傑出した創造物であり、歴史に誇る産物だと思っている。しかしそれを扱う当のわれわれが、日本に培われてきた素晴らしい感性を育めず、現代に通じる「手間」へと昇華できなければ本末転倒だ。時代はこれまでの日本を消費するのか、未来に発展させつなぐのかの瀬戸際である。私たちに託された課題は大きい。半田素麺の祈りに似た「手間」と「味」の向こう側にそうした思いを抱き、頭を垂れた。(企画プロデュース会社「丸若屋」代表 丸若裕俊(ひろとし)/SANKE I EXPRESS)