4月20日、パキスタンを訪問し、マムヌーン・フセイン大統領(左)、ナワズ・シャリフ首相(右)と歓迎式典に臨む中国の習近平国家主席(中央)。この際、「シルクロード基金」の初の投資案件が決まった=2015年、パキスタン・首都イスラマバード(新華社=共同)【拡大】
【国際情勢分析】
中国が昨年末に外貨準備を切り崩すなどして設定した総額400億ドル(約4兆8000億円)もの「シルクロード基金」。年内設立に向け準備が進む中国主導の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」ほどには注目が集まっていない。だが、4月20日には総額16億5000万ドルにのぼるパキスタン水力発電所への投資を第1号案件として決めるなど、シルクロード基金はAIIBに先行し、すでに猛スピードで動き出している。いずれも習近平指導部が提唱した中国が起点のアジア広域のインフラ整備「新シルクロード構想」を資金面で支える「車の両輪」(中国メディア)の役割があるが、何が違うのか。
援助名目で軍事転用可能
上海の国際金融筋は、「中国主導のAIIBに運営面で透明性を求めるのは当然だが、国際社会はそれ以上に、シルクロード基金への警戒感を示すべきではないか」と顔を曇らせた。