ミリオンスターズでは選手兼任監督とはいえ、パワフルさにあふれたかつてのようなプレーは、さすがに難しいと思う。だが、バットにボールがコンタクトしてから、遠心力でボールを押し込むスイングは、今でも「生きた教材」にほかならない。ボールに強くコンタクトせず、反発だけでボールを運ぶ「弾き打ち」スタイルが多い日本の選手に対し、メジャーらしいパワフルな打撃を教え込んでくれたら、若い独立リーグの選手には貴重な財産になるだろう。
還暦近くになっても異文化に飛び込む覚悟は、あっぱれというしかない。彼の挑戦を支える一番の活力は、「野球が大好き」という原点ともいえる思いなのだろう。野球ファンならずとも、北陸新幹線が開通した金沢に足を運び、「レジェンド」のプレーを生で見るのも悪くはない。(アトランタ・ブレーブスの国際スカウト駐日担当 大屋博行(おおや・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)
■大屋博行 1965年10月生まれの49歳。大阪府出身。高校中退後に渡米し、アリゾナ州スコッツデール市立コロナド高校で投手としてプレー。コロナド高を卒業後に帰国し、プロ野球阪神で練習生、歯科技工士などを経て98年に米大リーグ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの国際スカウト駐日担当に就任。2000年からアトランタ・ブレーブスの国際スカウト駐日担当として日本国内の選手発掘に励む。