この日の井浦さんは、神事に溶け込むかのような白の作務衣(さむえ)姿。遷座祭の開始時刻よりもかなり前から、玉砂利を踏みながらアングルを求めて境内を移動した。神事はリハーサルなしのぶっつけ本番の撮影なので、表情には緊張が走る。クライマックスとなるご神体を本殿に移すシーンでは消灯された境内で、気配を消すようにたたずみ、静かにシャッターを切っていた。
撮影を終えた井浦さんは「神事の撮影は待ったなしの一本勝負。厳粛な空気に圧倒される一方、でも撮らなければという気持ちとのせめぎ合いの中で撮影しました」と振り返った。また、ただ単に写真を撮るだけでなく「下鴨の歴史や哲学、民俗的なお話を新木直人宮司から伺い、たくさんの学びをいただいて本当に勉強になりました」と感慨深げに話した。さらに「僕にとってはまだ終わっていないんです」。6月の写真展に焦点を定めていた。
≪21年に1度 そのものが「御生」≫
遷座祭に先立つ4月26日、「井浦新の下鴨神社と式年遷宮」と銘打った講座が京都市中京区の京都商工会議所で行われ、井浦さんが下鴨神社への熱い思いを独特の語り口で披露した。