大阪都構想の是非を問う住民投票の敗北を受けた記者会見を終え、席を立つ橋下(はしもと)徹大阪市長(左)=2015年5月18日未明、大阪市北区(村本聡撮影)【拡大】
政治家としての橋下氏の登場は、「維新」を標榜(ひょうぼう)し大阪府知事となった2008年1月に始まる。地域政党、大阪維新の会を立ち上げ、大阪都構想の実現のためと称して知事の任期途中で大阪市長選に立候補して当選。石原慎太郎元東京都知事と組んで日本(にっぽん)維新の会の共同代表となり、「慰安婦」問題や集団的自衛権、そして憲法改正問題でも安倍晋三首相との親交を深め、今回の住民投票でも、自民党の地元支部を超えてエールを送りあっていた。
筆者はかつてある衆議院議員の選挙事務長を務め当選させたことがあるが、政治は複雑なようで意外と簡単だ。大きな目的のためには小さなウソは罪にならず、敵の敵は味方だという論理で動いている。また複雑な社会現象を簡略化するという意味では、時間の制約から脈絡なくオチだけ付けるテレビのバラエティー番組と酷似している。
橋下氏の場合、民間人の教育現場への登用や、学力試験の結果公表の仕方に反対されると「あのクソ教育委員会や教員が…」と罵倒。慰安婦問題では「どこの国の軍隊にも慰安婦は必要で実際にいた…」と言い、わざわざ沖縄まででかけて米軍司令官に「性犯罪をなくすには兵士に風俗を利用させたらいい…」と進言するという破天荒さで、有権者の注目を集める手腕にはたけていた。