大阪都構想の是非を問う住民投票の敗北を受けた記者会見を終え、席を立つ橋下(はしもと)徹大阪市長(左)=2015年5月18日未明、大阪市北区(村本聡撮影)【拡大】
橋下氏は「大阪都なくして大阪再興の道なし」と主張し、反対陣営は「大阪市がなくなっていいのか」と訴えたが、いずれも根拠となる具体的なデータは示さなかった。
ただ、こうしたワンフレーズを訴えるテレビ型選挙は、正しさよりも分かりやすさで、テレビやネット依存の有権者の関心を集め、それがこれほどまでの大接戦になった理由であろう。
行政機能には無駄がない方がいいに決まっている。大阪と日本の将来という観点から、そのことが具体的に議論されず、なんとなく勢いで住民投票になり、負けたら主役がすべてを投げ出すというやり方は、反対陣営の旧態依然とした政治感覚とともに、いつまでも許しておいてはいけないだろう。(同志社大学名誉教授 メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)