モンゴルと国境を接する草原の国、ロシアのトゥワ共和国に2月、日本語を教えるセンターが開かれ、2人の日本人女性が奮闘している。2人に教師の経験はなく、教材も不足。授業は手探り状態だが、生徒からは「分かりやすい」と評判は上々だ。
民族歌曲に魅せられ
「合唱した曲の意味を勉強しましょう」。首都キジルの名門校、第2番学校に設置された「日本センター」の教室では沢田香緒里さん(33)=埼玉県出身=が、日本地図やミズバショウの絵を示し、尾瀬をテーマにした唱歌「夏の思い出」の意味を説明していた。
現在は小学5年生の約50人を対象に教えている。事業を主導する共和国政府は、日本の高校3年に当たる最終学年まで続ける方針だ。
沢田さんと共に教壇に立つのは、寺田麻央さん(37)=東京都出身。2人は、「ホーメイ」と呼ばれる独特の唱法を用いるトゥワの民族歌曲に魅せられたのがきっかけで、それぞれキジルに移住。家庭を持ちながらホーメイやトゥワ語の研究を続けていたところ、共和国が直轄するセンターの教師として「わずか数人」(日本外務省)の在留邦人の中、白羽の矢が立った。