「説明や生徒とのやりとりはトゥワ語。板書はロシア語も使います」と沢田さん。公用語のロシア語よりトゥワ語の方が文法構造が日本語に近く「教えやすい」という。生徒のアイサン君(11)は「トゥワ語で教えてくれるので分かりやすい」と話す。
「中国とのバランス重要」
日本語教育の専門家に1週間の手ほどきを受けたとはいえ、教師としては素人同然だ。教科書は教師分しかなく、トゥワ人教師がインターネットでダウンロードした日本についての資料なども活用してしのいでいる。
トゥワはモンゴル国境に位置し、共和国政府は「ここがアジアの中心」と対外的にアピールするが、「日本企業との関係は、ほぼ皆無」(日露経済専門家)。これまで交流はホーメイの愛好家や民族学研究者らごく少数に限られてきた。
しかし最近は、日本への関心も高まりつつあるようだ。子供たちに日本のイメージを尋ねるとアニメの「ナルト」「ピカチュウ」といった言葉が飛び出した。ネットでダウンロードして見ているという。第2番学校のナクシル校長も「保護者からは日本語を学びたいとの要望が増えている」と説明する。