2022年の冬季五輪招致に関して今年3月28日、国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員が5日間の現地調査を終えた際、記者会見に臨む北京市の王安順市長。ほぼ2カ月後に公表された評価報告書の内容に、王市長は招致成功への自信を深めた=2015年3月28日、中国・首都北京市(AP)【拡大】
評価委員は、北京側が提示したデータを鵜呑みにしているのだろうか。当局は大気汚染が改善されていると主張するが、それを実感している市民は少ない。五つ星ホテルに宿泊する評価委員が、北京の一般的なホテルの実情を知っているとは思えない。生態系への影響が懸念されるアルペンスキー会場の造成に異を唱えても、その声が届くとは考えにくい。90%以上とされる驚異的な市民の支持率を疑いもしないのか。
両都市は、6月9、10日、スイス・ローザンヌで開催される「2022年冬季五輪立候補都市とIOC委員説明会との懇談会」に臨む。ともにあの手この手で支持を訴えるだろうが、評価報告書だけを見せられた場合、多くのIOC委員が北京を選ぶに違いない。北京が「強大な市場規模と成長潜在力が、提携パートナーに巨大なビジネスチャンスをもたらす」とすれば、なおさらだ。(中国総局 川越一(かわごえ・はじめ)/S ANKEI EXPRESS)