財務省での会合で、ジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会議長(左)と言葉を交わすジャック・ルー米財務長官。ルー氏は、人民元のIMF構成通貨入りにはなおも慎重なスタンスを保っている=2015年5月19日、米国・首都ワシントン(ロイター)【拡大】
また中国側も構成通貨入りに向けた布石を打っている。中国人民銀行(中央銀行)の周小川(しゅう・しょうせん)総裁(67)は4月の声明で、資本取引を自由に行えることが構成通貨の条件の一つとされることを踏まえ、「中国は人民元の資本勘定の自由度をさらに高める一連の改革を準備している」と表明。具体例として個人投資家に海外証券資産への投資を認める新たな制度の試験的な導入や、香港証券取引所と広東省の深●(=土へんに川、しんせん)証券取引所との越境取引制度の立ち上げなどを挙げた。
しかし、これだけで人民元の構成通貨入りが決まったと考えるのは時期尚早だ。人民元相場は中国人民銀行が決める基準値に対する変動幅が設定されている「管理変動相場」で、ドルや円など他の構成通貨が採用する完全な変動相場とは異なる。いくら中国が改革姿勢をアピールしても、国際通貨の資格に欠けることも事実だからだ。
また最近は中国経済の減速を受けて人民元高の流れが弱まっており、米財務省高官は「中国にはまだ成すべきことがある。人民元はかなり過小評価されたままだ」と断じる。