財務省での会合で、ジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会議長(左)と言葉を交わすジャック・ルー米財務長官。ルー氏は、人民元のIMF構成通貨入りにはなおも慎重なスタンスを保っている=2015年5月19日、米国・首都ワシントン(ロイター)【拡大】
AIIB設立で示した力
ロイター通信によると、ジャック・ルー米財務長官(59)は5月27日、訪問先のロンドンで記者団に対して「中国は本当に市場が為替レートを決めることを受け入れるのか」と発言。人民元の構成通貨入りには、中国経済が力強さを取り戻した場合、中国が現状からの人民元高を容認するかどうかを見極める必要があるとの見方を示した形だ。
またドイツのウォルフガング・ショイブレ財務相(72)は29日、ドレスデンで開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後、「G7は人民元の構成通貨入りは原則として望ましいものだということで合意した」と述べた。しかし一方では技術的な問題が残っているとも指摘。今年の見直しで人民元の構成通貨入りが決まるとの見方は「楽観的に思える」と話した。
ただし中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備では、米国の反対をよそに57カ国もの参加を集め、国際金融における影響力を示した。当初はAIIBから距離を取ることで一致していたG7からも、最終的には英仏独伊がAIIB参加を決めた。一方の米国はIMF内で途上国の発言力を強めるための改革を妨害しているとの批判も受けており、人民元の構成通貨入りについて「親中国」の流れが強まる可能性もある。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)