「いま、日本の高校生は直接メジャーへ行けなくなってなっているんです」。米大リーグ関係者から聞いた情報に最初は半信半疑だった。
説明はこうだった。米大リーグ機構(MLB)がメジャー全30球団に対し、1995年9月1日以降に生まれた海外のアマチュア選手を獲得する場合、その年の5月までに出生証明書などをMLBに提出する「事前登録制度」を設けており、しかも、新ルールは2013年5月からすでに適用されているという。選手本人の出生証明書が必要なのに、日本では「夏の甲子園大会」が終わるまでプロアマ規定で選手との接触が禁じられている。つまり、メジャーの新ルールは、日本のルールに抵触するという事態になっているのだ。
「高校から直接メジャー」と聞いて、思い出すのが2012年秋に挑戦を表明した岩手・花巻東高の大谷翔平選手だ。結局は日本のドラフト会議で1位指名した日本ハムで投手と野手の「二刀流」を目指すことになったのだが、これが翌年だったら、表明自体が無意味なものになってしまっていた。
関係者によると、中南米の年齢詐称対策が新ルールの背景にある。中南米の選手の中には、虚偽の年齢で球団と契約し、数年後に「あの年齢は正確ではないので、契約自体が無効だ」と移籍を訴えるケースがあるという。日本は巻き込まれた格好になっている。