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心に訴える線 社会派画家の奥行き 「丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展」 (3/3ページ)

2015.6.15 13:10

平和や労働環境の向上など社会問題をテーマに描いたポスター=2015年6月10日、茨城県水戸市(原圭介撮影)

平和や労働環境の向上など社会問題をテーマに描いたポスター=2015年6月10日、茨城県水戸市(原圭介撮影)【拡大】

  • リルケの「マルテの手記」を題材にした作品も並ぶ=2015年6月10日、茨城県水戸市(原圭介撮影)

 旧約聖書から題材を得た「ハレルヤ・シリーズ」(1968年ごろ)には、ヘブライ語と楽器を演奏する男たちが登場して、おごそかな天上の音楽が聞こえてきそうだ。

 シャーンは最終的に、芸術作品は個人の心に訴えるものだと気づき、立ち返ったといえるのだろう。

 シャーンの描く線は、震えながら伸び、その一本一本が、そこしかない、という場所に位置している。たぶん、それは、石版画に取り組み、何度も何度も練習した経験から来たものだろう。そしてその確かさと美しさが見る者の心をとらえる。

 永松左知学芸員は、「テーマ性、批判性とともに人を感動させる力があった作家。若い人にもシャーンの生きた時代を知ってほしいし、ぜひ彼の線の美しさも味わってほしい」と話している。(原圭介、写真も/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■「丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展」 7月5日まで、茨城県近代美術館(水戸市千波町東久保666の1)。一般1080円。月曜休館。(電)029・243・5111。

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