子供の家庭養護に関するシンポジウムで「家庭に勝る場所はない」と訴えるジョルジェット・ムルヘアさん=2015年6月8日、東京都港区(日本財団撮影)【拡大】
スクリーンに映し出されたのは、寄り添う大人に肩をさすられながら証言席に座る、眼鏡をかけたおかっぱ頭の少女。日本なら小学校に通っている年ごろだろうか。彼女は5年間施設で暮らしたという。10歳だとしたら人生の半分だ。「私の夢は家に帰ることでした。私たちに必要な愛情や教育が(施設には)ないからです」。自らの体験を語る口調は、あどけない顔に不釣り合いなほどはっきりとしていた。
さまざまな事情で実の親と暮らせない子供の家庭養護に関する世界的な専門家、ジョルジェット・ムルヘアさんが来日し、東京都・赤坂の日本財団ビルで8日、シンポジウムが開かれた。ムルヘアさんは「子供が家庭で暮らす社会にむけての道しるべ~中央・東ヨーロッパの事例から~」と題して講演。終盤に紹介した少女の動画で「どんなに良い施設でも家庭に勝るものはない」というメッセージを強く伝えた。