子供の家庭養護に関するシンポジウムで「家庭に勝る場所はない」と訴えるジョルジェット・ムルヘアさん=2015年6月8日、東京都港区(日本財団撮影)【拡大】
シンポジウム翌日に設けられた国会議員との勉強会でも、「(日本では施設を)けしからんという考え方ではやっていない」と理解を求める議員に対し、ムルヘアさんは「8~10人以上の子供が暮らす規模の大きな施設では、子供への悪い影響は避けられない。状況は各国で異なるが、どの国の子供も家庭がないと元気に成長していくことができないのです」と訴えた。
施設でのケアに詳しい児童精神科医で長野大学准教授の上鹿渡和宏(かみかど・かずひろ)さんは、小規模化など施設の質向上に日本が努めてきた経緯を踏まえ、「施設から家庭に子供を移す時、子供にとって環境の質が下がらないようにすることが大切になってくる」と指摘。トレーニングが充実する国での里親研修など、日本に必要な取り組みを模索しているという。大規模な施設で暮らす子供の割合が日本で特に高い背景には「人手不足」も指摘されており、こうした問題の改善も急務だ。
夢は何かと尋ねられ「家に帰ること」と答える子供が一人もいなくなるような社会の実現に向け、知恵を絞り、さまざまな角度から取り組みを進めることが求められている。(日本財団 コミュニケーション部 益田美樹/SANKEI EXPRESS)